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[ 膝と老化 ]
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10月30日の市民健康講座で話す事を掲載させて頂きます。 ヒザと老化について @ 世界中で一番の長寿国は現在日本が一番で男77才、女84才となっています。しかし長寿を喜べるのは綺麗な所へいつでも行ける体の丈夫さと、美味しい物を食べて美味しいと思う内蔵の丈夫さと思います。私の専門科目の整形外科では骨と筋肉と関節の外科としていかに痛みのなくスムーズな動きを維持するために頑張っています。この写真はつい最近のユニバシアード大会の陸上1万メートルで銀メダルに輝いた選手の勇姿ですが、腰と股と膝と足首のスムーズな動きでこういう躍動的な動きができる訳です。歩行も同じです。いかにスムーズな動きが正しい動きが健康の元なのです。良く膝をかばえば腰にきて、腰をかばえば膝を腰にくるという事で、びっこをひくと他の筋肉にしわ寄せが来る訳です。現在車社会で人間全体の体力が落ちていると言われていますが、歩いていると膝がガクガクするというのは膝の周りの筋肉が落ちている証拠です。脚の体力が落ちない為には最低7000歩から10000歩く必要といわれていますが便利な世の中、忙しい中で何人の人がノルマをこなしているのでしょう? A 人間の歩きの中心になるのがヒザ関節です。膝は頭に振動が伝わらないようにする為にバネの柔らかさと支える強さが備わっていなければなりません。その為に関節の内外に四つの靭帯と二つの軟骨版(半月版)を主体にして上下の骨の関節面をコーティングしている関節軟骨(厚みは5〜7o)と関節全体を包んでいる関節包から成り立っています。 B 関節軟骨の表面は摩擦係数が0.05という非常にツルツルになっており(氷の上に球を転がす感じ)スムーズな動きを助けています。このツルツルさは人工的には作られず、人間の体の不思議さを感じます。軟骨には3種類あり、耳たぶを形作っている弾性軟骨、骨折を直す過程での繊維軟骨(人間の軟骨はこれが殆んど)、関節の表面を作る硝子(しょうし)軟骨となっています。良く膝を再生させるには巷ではヒアルロン酸を取ればという話ですが、確かに軟骨中のコラーゲン繊維の中にヒアルロン酸はふくまれていますが関節には血管が入っておらず、出来ても少し性質の落ちる繊維軟骨にとってかわるだけです。最近出来た臓器再生医学に将来期待するしかありません。 C 関節軟骨は一度傷つくと再生しませんが負担を減らす様に持って行くようにすればよいわけです。ひざの内側と外側に均等に体重がかかるには太ももに対して、下腿が2〜4度外側に向いているX脚が理想的な膝の形ですが、人間は1才前後で立った時には皆O脚です。4〜5才で過度のX脚ですが、男で15〜17才で2度、女で14~16才で4度のX脚に落ち着きます。(同じ身長、体重でも女性の方が骨盤広い為) D 人間はある程度の体の修復能力がありますが、元に戻らない変化、すなわち老化は避けられませんが、2枚目のスライドで示した靭帯損傷、半月板損傷にて膝関節の中が不安定になり、臼で挽くのと同じ原理で軟骨が若い時に磨耗しますが、一般には自然に老化が始 まってきます。まず中国人、韓国人の基本的生活のいす生活と違い正座生活なので、日常生活の不便さは正座が辛い事からはじまります。いわゆる関節が固まってきます。この場合膝も真っ直ぐに伸ばせなくなってきます。 E 又O脚変形のある人は進行し、膝の内側に負担が増えるために軟骨の修復能力を超えます。軟骨は磨耗し、レントゲン線像には隙間が狭くなっています。この時痛みは膝の内側に出現します。日常診療で良く見かけますが膝の上下のマッサージしていけないのと同じでマッサージは禁物です。 F 他にレントゲン線像では、スムーズな縁が凸凹になってきます。これは軟骨の柔らかさが失われていくのをかばう為の骨を作る反応です(関節の上下にできるより白く見える骨硬化と同じで、骨粗鬆症とは全く逆です)。 G 又それに従って痛くなった方の膝はかばう為に、太ももの筋肉が落ち、(日常診療で良く説明しているのですが、筋肉はあっという間に落ちるが、戻すのは大変だと説明しています。)膝の軟骨を守ろうとしていわゆる{水}が溜まって来ます。良く患者さんが水を抜くと癖になると言いますが、なぜ溜まるかという原因を改善すれば多少の水(関節液)は退いていきます。 H いわゆる膝の磨耗(老化)を変形性膝関節症と言いますが、治療としてはまず与えられた組織を持たせる為に、体重の減少が大事です。この図のように5キロの増加で一日何千歩での負担は計り知れません。まずは体重の減少を栄養学、運動の二面から実施します。 I 次に日本人はO脚変形が多いので(靴の踵の外側が減ってくる)内外に均等に体重がかかるように踵の裏に外側の高くなったゴムを張るようにしたり、図の様に外側の厚い足底板を装着させたりします。 J この図に示す様に年配の人には膝の負担をかけない為に膝を伸ばして足首に重りをぶら下げて鍛えて痛くない膝の筋力に近づけるようにします。(1キロの重りを持ち上げる事ができると70才の筋力と考え、悪い方の膝の筋力がお皿の上端から10pの所の周囲径が健康側に比べて1p落ちていれば要注意!!)。若い人では椅子に座って足首につけた重りを降ろした位置から水平まで持ち上げる訓練でもO、Kです。 K 他の運動療法として歩行訓練(処方は医者か専門家と相談した方が良い)と、歳と共に体が硬くなる以上に悪い膝関節が固くなるので(足関節も同時に行う)きちんとしたストレッチングを行う L 以上体を傷つけない保存療法でも症状が悪化する様であれば、最近良く行われる方法が高位頸骨骨切り術です。これはO脚を無理にX脚に引き戻す手術で頸骨(すね)の膝寄り1p下で骨を切断し前もって作っていた作図に従って皮膚の外から固定し3ヶ月後に取り外す。本来の形にもどすことは良いことなのですが高齢者には手術後3ヶ月は歩けないのでリハビリを考えた時、痴呆の程度、全身状態で決定される様です。 M 骨切り術は体に異物を入れない事でそれはそれで素晴らしい手術なのですが、長期臥床(ねたきり)により、@)痴呆A)肺炎B)床ずれ 予防の為に手術後すぐ歩ける様になる人工関節に入れ替えます。但し材料がセラミックス、チタンと材料が良すぎて骨粗鬆症気味の骨が負けてしまってずれる事があります。(寿命は大体20年といわれています。 99才でヨーロッパのモンブラン滑降した三浦さんもドキュメンタリーフイルムでは老化は膝からという事で食事、歩き、ジョギング、ストレッチング等すべてスキーに関して死ぬまで現役という事で素晴らしい栄光の陰で地道な努力をされています。常々患者さんに伝えているのですが、歳は自分で決めるもの、自分の気持ち次第、努力次第で変わる物だと信じる事が大事だと思います。
2003/10/06(Mon)
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